BTホルダ（シャンク）システムの基礎知識

BTホルダ（シャンク）とは？

BTホルダ（シャンク）は、CNC工作機械で広く使用されているツールクランプシステムの一種です。BTとは、もともと日本工作機械工業会（JMTBA）が制定した規格で、「MAS403 BT」として知られています。近年では、日本工業規格（JIS）に統合され、「JIS B6339」として採用されています。

BTホルダの特徴は、特有のテーパー角（7:24）と内部に設けられた引き棒構造にあります。これにより、主軸内にしっかりと固定され、加工中の工具のズレを抑えることができます。この設計により、高速回転や重切削時でもクランプの安定性を維持しつつ、高剛性と耐久性を確保します。また、工具交換の効率も向上し、生産性の大幅な向上に寄与します。構造がシンプルで汎用性が高いため、多くのCNCマシニングセンタで標準的に採用されています。

BTホルダの特徴

高剛性設計：BTホルダは、7:24の大きなテーパー角を採用しています。シャンク部のテーパー体が引き棒によって軸方向に引かれ、スピンドル内のテーパー穴と密着します。この構造により、スピンドルとの接触面積が広くなり、工具の突き出し量が減少、剛性と安定性が大きく向上します。

高精度な位置決め：テーパー面と端面の接触設計により、スピンドル内での工具の高精度な位置決めが可能になります。これにより、加工精度と加工面の仕上がり品質の向上に貢献します。

安定したクランプ力：BTホルダの構造設計は、テーパーシャンクとスピンドル内テーパー穴の接触面に対して確実なクランプを実現します。ホルダのシャンクとスピンドル内孔との密着度には、ISO1947に基づくAT1〜AT9の9段階の公差等級があり、数字が小さいほど密着精度が高くなります。一般的にはAT4が標準ですが、AT3やフランジ接触面積が85%以上の高精度ホルダーを使用すれば、より優れた加工効果が得られます。これにより、加工中の工具の振動やズレが抑えられます。

BTホルダのサイズ規格

BTホルダには複数のサイズがあり、一般的にはBT30、BT40、BT50の3種類が広く使用されています。これらの違いは、主にテーパーサイズにあります。
BT30 < BT40 < BT50
選定の際には、使用する工作機械のスピンドル内テーパーサイズとBTホルダの規格が一致していることを確認する必要があります。

BTホルダの使用およびメンテナンスの推奨事項

定期点検と清掃：テーパー部および端面の接触部を定期的に点検し、清掃して異物を取り除くことで、クランプ精度と安定性を維持できます。

正しいクランプ力の確保：規定された工具や方法を用いて、適切なクランプ力を確保してください。過度な締め付けや緩みは加工精度に悪影響を及ぼします。

衝撃や損傷の防止：取り扱いや保管の際は、工具ホルダが衝撃を受けたり損傷したりしないよう注意し、寿命を延ばしましょう。

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